「片原饅頭」は、天保年間の創業から164年もの間、群馬の名物として親しまれた銘菓だが、1996年、後継者不在によりその長い歴史に幕を下ろした。当社の前社長である福島氏は、伝統の絶品の味を復元するため、片原饅頭の元職人頭を探し出し、研究を重ねて味を復元し、2010年に「片原饅頭」を復活させた。しかし再び後継者が不在となり、2020年には饅頭の製造を一時休止、伝統の味を伝承してくれる後継者を探していた。
「片原饅頭」は知名度が高く、福島氏のもとには大手企業から好条件での買収提案も寄せられたが、歴史の味を守るための“手作り”を託せる後継者には巡り合えずにいた。そんななか福島氏は金融機関の紹介で群馬県産業支援機構内に設置されている事業承継・引継ぎ支援センターに相談、事業にかける想いを大切にするセンターの取組方針に共感し、後継者探しを託すことにした。
「片原饅頭」を譲り受けた株式会社ワークエントリーの本業は、県の若者就職支援事業を受託運営するなど、地方創生にも注力する人材紹介業。代表の星野氏は、「群馬の伝統の味伝承」へのこだわりで、初対面から福島氏と強く共感。本業の強みを生かし、パティシエ経験等のある社員らによる「伝統の味承継チーム」を組成して、福島氏の技術指導のもと新生「片原饅頭」を誕生させ、次の200年に向け新たな歴史を刻みだした。
一度は途絶えた伝統の味を復活させた福島氏。その熱量を真正面から受け止め、手間のかかる昔ながらの手作りを承継する決意をした星野氏。 譲り渡す側と譲り受ける側の想いを具体的な形にするため、事業承継・引継ぎ支援センターの専門家が事業承継契約書の条件を調整して、福島氏から「伝統の味承継チーム」への円滑なバトンタッチをサポートした。
当時は、当社もM&Aに不慣れな面もあったので、事業承継・引継ぎ支援センターの担当者が私の想いをしっかりと受け止め、理解し、良い提案をしてくれたことが、相手先への信頼、そしてこの事業承継につながりました。センターは公的な機関なので、安全、安心に利用できることもメリット、リピーターとして利用しています。
代表取締役社長 星野 聡志
住所 | 群馬県高崎市旭町26-2 |
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事業内容 | 人材紹介、就職支援、天然水加工販売、不動産、プロモーション事業、シルク製品販売、財務コンサル、地域開発事業、福祉事業 |
従業員数 | 148名(グループ全体) |
代表者 | 代表取締役社長 星野 聡志 |
URL | https://workentry.jp/ ![]() |